アーユルヴェーダの歴史

アーユルヴェーダは世界3大医学の一つであり、インド・スリランカで生まれた約5000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学です。サンスクリット語のAyuh(生命・寿命)とVeda(科学・知識)を合わせた言葉から、生命そのものを科学する医学、あるいは実践的な生活健康法として受け継がれてきました。ブッダもアーユルヴェーダに精通し、食事や生活にもその教えを取り入れ、後の教えにも大きな影響を与えたといわれています。
しかしながら、これほどまでに完成度高く体系化されているアーユルヴェーダが、他の医学に比べ世界中に知られていないのは何故でしょうか?インドでは、17世紀になると英国による植民地支配が進み、アーユルヴェーダ医学は抑圧され西洋医学が取り入れられるようになりました。しかしそのような状況下でも、アーユルヴェーダは人々の生活の中で脈々と受け継がれ、1947年のインド独立と共に医学として復活しました。
後に高名な医師や指導者達が古代の教えをまとめ、極めて洗練された健康法として脚光を浴びるようになり、1977年には世界保健機構(WHO)がアーユルヴェーダと中国医学を予防健康医学として認めたことで、21世紀に向けての生活健康法として広がってきました。日本でもヨーガと共に知名度も上がり多くの人に注目され始めています。
人それぞれ異なる体質

アーユルヴェーダでは、人は誕生の時からさまざまな環境の影響を受け、他の誰とも違った個別の体質(個性)を持って生まれ、その体質は私たちの存在そのものであり健康のバランスを保つための基礎と考えます。
また、人それぞれ個人差があることを前提に、健康増進にむけ身体と心の双方から生命を捉えるところに特徴があります。
私たちの思考、感情、行動に影響を与えるエネルギーと環境がもつすべてのエネルギーを3つの生命エネルギー(ドーシャ)であらわし、このエネルギーの調和とバランスを保つことで「真の健康」と「真の美しさ」、つまり心・身体・意識の美しさ(健康に基づく輝き)を生みだす生活健康法として存在します。
一人一人が健康で幸せな人生を送るためにどうすれば良いのか、生きるための知恵を教えてくれるのがアーユルヴェーダの魅力といえるでしょう。
病気の起こるプロセス

アーユルヴェーダでは、ドーシャのアンバランスから体内に過剰なドーシャが増悪蓄積し、アグニ(消化力)が正常でなくなりアーマ(未消化物)がたまってくるために病気や老化が起こると考えます。ですから、ドーシャのバランスの程度に応じて、病気の進み具合も異なることになります。
ドーシャのアンバランスの程度は、6段階(蓄積→増悪→播種→極在化→発症→慢性化)に分類されます。段階が進むほど、アーマの蓄積が増大し病気も重くなります。
しかしこれはエネルギーのレベルで起こることですので、実際に病気として顕在化するのは「発症」の段階です。アーユルヴェーダは病気として発症する前の「未病」の段階で対処していくのが特徴です。
アーユルヴェーダ医学の体系

アーユルヴェーダでは、病気の治療のための「治病医学」と健康増進のための「予防医学」をあわせて、8部門からなっています。
「治病医学」としては、内科学(カーヤ・チキッツァ)、小児学(カウマラドウルッティヤ・タントラ)、精神科学(ブーダヴィディヤ)、耳鼻科学(シャーラーキャ・タントラ)、外科学(シャーリャ・タントラ)、毒物学(アガダ・タントラ)が、「予防医学」としては、若返り法(ラサーヤナ・タントラ)と強壮学(ワージーカラナ・タントラ)があります。
現代医学でも、10年位前から予防医学やアンチエイジング医学が一部の医学者によって紹介されてきましたが、アーユルヴェーダでは、5000年も前から「治病医学」と「予防医学」が2つの大きな医学の柱として体系が出来ていたというところはまさに驚きと言えるでしょう。
生活健康法としてのアーユルヴェーダ

アーユルヴェーダは、治病医学としてだけでなく、日常の生活法の重要性を説き、人間の体質に応じた生活法を実践することによって、健康の維持・増進を目指します。
この日常の生活法は、生活習慣(ライフスタイル)と食事法、心身調整法(運動、ヨーガ、呼吸法、瞑想法、入浴、オイルマッサージ)の3つに分けられます。
アーユルヴェーダの生活習慣は、ディナチャリヤ(一日の過ごし方)と呼ばれ、体質に応じて、起床時間と睡眠時間、そして労働時間からなりたつ一日のフレームワークの中に、朝、昼、夕に適した食事法、心身調整法をうまく取り入れことによって、ドーシャをバランスさせ、オージャス(活力エネルギー)に満ちた生活ができるようになります。




