アーユルヴェーダの哲学とヨーガ
アーユルヴェーダの概念は、以下のインドの六派哲学が基本となっています。
- 1.ヴェーダ哲学(宇宙原理との一体化を説く神秘主義)
- 2.サンキャ哲学(精神原理(プルーシャ)と物質原理(プラクリティ)の二元論)
- 3.ニヤーヤ哲学(論理学)
- 4.ワイセイシカ哲学(自然哲学)
- 5.ミーマンサ哲学(祭祀の解釈)
- 6.ヨーガ哲学(心の訓練と解脱)
この六派哲学から生命や医学に関する知識を抽出し、体系化したものがアーユルヴェーダといわれています。
このように6番目のヨーガ哲学は、アーユルヴェーダの一部であることから、ヨーガとアーユルヴェーダは密接に関係しあいながら、5000年の歴史の中で受け継がれてきました。
ヨーガは、狭義には解脱、すなわち魂の神への結合を実現するための実践体系を指しますが、広い意味では、心身制御のテクニック、あるいは修行法です。アーサナ(姿勢)やプラーナーヤーマ(呼吸法)のみを重視する健康ヨーガ的なものや瞑想による精神統一を重視するものなど様々な流派からなっています。
2世紀から4世紀ごろ、サンキヤ学派の形而上学を理論的な基礎として、その実践方法がパタンジャリによって『ヨーガ・スートラ』としてまとめられ、解脱への実践方法として体系づけられました。内容としては主に観想法によるヨーガ、つまり静的なヨーガであり、それゆえ「ラージャヨーガ(=王様のヨーガ)」と呼ばれています。
アシュタンガ・ヨーガと言われる8つの段階を経て解脱を目指します。ヤマ(禁戒)、ニヤマ(勧戒)、アーサナ(座法)、プラーナヤーマ(呼吸法)、プラチャハーラ(一心集中)、ダラナ(凝念)、ディヤーナ(静慮)、サマーディ(三昧)が8段階。
12世紀から13世紀には、タントラ的な身体観を基礎として、動的なヨーガも出現しました。これが現在世界中で普及しているハタ・ヨーガです。内容としては難しい坐法(アーサナ)や呼吸法(プラーナーヤーマ)を重視します。
アーユルヴェーダの生命観
アーユルヴェーダの古典「チャラカ・サンヒター」では、「生命」は単に肉体だけでなく、精神、五感、意識が結合したものであると言っています。そして意識以外は常に変化するものですが、意識は永遠不滅のものと考えます。つまり常に変化する相対的な具象と永遠で絶対なる非具象の意識とを合わせもっているのが「生命」なのです。そしてこの意識こそが、本来の自己であり、宇宙と同質のものであるというのです。
また、インドの古代哲学の「ウパニシャッド」「バガヴァッド・ギーター」では、肉体、精神、五感、意識からなる「生命」を以下の7つの法則が支えて、私たち人間を幸福へと導くと言っています。
- 1.与える法則(生命とは全ての要素や力が、調和的に相互作用している状態)
- 2.純粋潜在力の法則(自らの内なる意識に無限の可能性ある)
- 3.原因と結果の法則(この瞬間におこる全てのことは過去に行った選択の結果)
- 4.最小努力の法則(自然の摂理と同様に、自らの願望を、楽に努力せずに実現させるのが人間の本性)
- 5.意図と願望の法則(願望があって意図となり、意図があって行為となり、行為があって宿命となる)
- 6.放棄の法則(行為の結果に対する執着を捨てることから、創造性が生まれる)
- 7.人生における目的の法則(自らの能力の必要性に気づき、その必要性を満足させるとき、創造性の豊かな流れがおこる)
アーユルヴェーダの最終目的
アーユルヴェーダは、私たち自らがもつ自然治癒力を信じ、それを活性化させることにあります。さらに「生命」を支える法則を知ることで、健康と病気、生と死を超越して、真の幸福を生きることにあります。
アーユルヴェーダは古代インド人による何か特別なものではなく、時空を超えて、地球上で今を生きる私たち一人ひとりが生まれながらにもっている幸せに生きるための知恵なのです。現代のストレスいっぱいの忙しい毎日の生活の中で、外に向けられた意識をどうぞ一瞬だけ「内なる」自分自身に向けてみてください。自分自身の身体と心を大切にする方法を知って実践して、楽しく、幸せに人生を生きぬくことができることでしょう。
“Health is the maximum profit which generates the supreme value of life.”




